アダルトチルドレンとインナーチャイルドの関係とは?心の傷を癒すためのステップ

アダルトチルドレンとインナーチャイルドの関係とは?心の傷を癒すためのステップ
  • なぜかいつも生きづらいと感じる
  • 自分も毒親になってしまうのではないかと怖い
  • 原因のわからない自己肯定感の低さに苦しんでいる

生きづらさの原因は心の中にいるインナーチャイルドや、幼少期に形成されたアダルトチルドレンかもしれません。この記事ではインナーチャイルドとアダルトチルドレンの関連性を解説し、具体的な克服ステップを紹介します。

記事を読めばインナーチャイルドとアダルトチルドレンが形成される原因を理解し、長年の苦しみから抜け出す方法がわかります。インナーチャイルドを癒やすことでアダルトチルドレンは克服可能です。自分の心の傷と向き合い、一つずつ丁寧に癒やしていくことで、インナーチャイルドやアダルトチルドレンの影響から解放されましょう。

インナーチャイルドとは潜在意識を擬人化したもの

インナーチャイルドとは心の中にある「内なる子ども」のことで、潜在意識を人格化したものです。幼少期に十分な愛情を受けられなかった思いがインナーチャイルドとなり、無意識のうちに現在の思考や行動に影響を与えています。

自己肯定感の低さや感情のコントロールの難しさなどの悩みは、インナーチャイルドに関係していることが多くあります。

インナーチャイルドが形成される過程

インナーチャイルドは幼少期の家庭環境や毒親との間で満たされなかった思いや、傷ついた感情が原因となって生まれます。以下のような体験で感情が抑圧されると、心に満たされなかった子どもの感情が残り、インナーチャイルドが形成されます。

  • 否定
  • 条件付きの愛情
  • 虐待・ネグレクト
  • 期待の押し付け
  • 安心できない家庭環境
  • 感情の抑圧
  • ヤングケアラー

子どもは安心して甘えたり、感情を素直に表現したりすることで健やかに成長します。しかし、つらい経験を通して本来の子どもらしさが抑え込まれると、心の中にインナーチャイルドが残ってしまいます。
» 家庭環境の悪さにより発生する問題とは?克服方法を詳しく解説

インナーチャイルドの特徴

傷ついたインナーチャイルドを抱えていると、生きづらさを感じやすくなります。大人になってもインナーチャイルドが無意識に考え方や行動に影響を与えるためです。インナーチャイルドの主な特徴は以下のとおりです。

  • 自己肯定感が低い
  • 本音を言えない
  • 見捨てられないか不安に感じやすい
  • 承認欲求が強い
  • 孤独感が強い
  • 感情の起伏が激しい
  • 人に頼れない
  • 自分の気持ちがわからない

インナーチャイルドが抱える悩み

傷ついたインナーチャイルドを抱えていると、大人になってからもさまざまな悩みを抱え続けます。満たされなかった感情や抑えてきた本当の気持ちがインナーチャイルドとなり、心の奥で未解決のまま残っていることが原因です。インナーチャイルドは以下のような悩みを抱え、生きづらさを感じます。

  • 自分には価値がないと感じる
  • 期待に応えようと頑張りすぎる
  • 感情のコントロールが難しい
  • 人を信じられない
  • 何でも自分のせいにする
  • 何かに依存してしまう
  • むなしさを感じる
  • 本当の気持ちがわからない
  • 幸せになることに罪悪感を抱く

アダルトチルドレンとは幼少期の心の傷が癒やされていない人

アダルトチルドレンとは幼少期の家庭環境が原因で心に傷を負い、大人になっても生きづらさを抱えている状態です。常に親の顔色をうかがい、自分の感情を抑えて「良い子」でいることを強いられて育つと、アダルトチルドレンになる場合があります。

安心できる家庭で過ごせなかった経験はアダルトチルドレンの原因となり、成人後の思考パターンや対人関係に大きな影響を及ぼします。

アダルトチルドレンが形成される過程

アダルトチルドレンは幼少期に安心できるはずの家庭で、つらい経験を積み重ねることで形成されます。本来、家庭は子どもが安心して過ごせる安全な場所です。しかし、以下のような家庭で育つと子どもは心に深い傷を負い、アダルトチルドレンが形成されます。

  • 親がアルコール依存症や精神疾患を抱えている
  • 「良い子」でいることを強要される
  • 感情を出すことを禁止される
  • 否定的な言葉を浴びせられる
  • 子どもらしくない役割を与えられる

つらい家庭環境で生き抜くために身に付けた考え方が原因でアダルトチルドレンとなり、大人になっても生きづらさが続きます。

アダルトチルドレンの特徴

アダルトチルドレンには幼少期の経験が原因で、大人になっても続く特有の考え方や行動のパターンがあります。アダルトチルドレンの主な特徴は以下のとおりです。

  • 他人の顔色や評価がいつも気になる
  • 自分のことを好きになれず、すぐに自分を責めてしまう
  • いつも「良い子」や「しっかり者」でいようとする
  • 自分が本当に何を感じているのかよくわからない
  • 物事を「0か100か」「白か黒か」で考えてしまう
  • 人の頼みを断れない
  • 人から見捨てられるのではないかと、いつも不安を感じる
  • 困っていても、人に「助けて」と言えない
  • 仕事や恋愛、買い物など、何かにのめり込みやすい

アダルトチルドレンの特徴は複数当てはまることも少なくありません。自分の傾向に気付くことがアダルトチルドレンから抜け出す最初の一歩になります。

アダルトチルドレンが抱える悩み

アダルトチルドレンは幼少期の家庭環境が影響し、大人になってからも多くの悩みを抱える傾向があります。アダルトチルドレンが抱える主な悩みは以下のとおりです。

  • 人との適切な距離感がわからない
  • 自己肯定感が低い
  • 感情を抑圧してしまう
  • 慢性的な孤独感や不安を感じる
  • 責任感が欠如する
  • 他人に依存しやすい
  • 「良い人」を演じてしまう

「自分は大切にされている」感覚や人との健全な関わり方を十分に学べなかったことが、アダルトチルドレンの背景にあります。アダルトチルドレンが抱える悩みは多岐にわたり、本人の意思だけでは解決が難しい根深い問題です。
» アダルトチルドレンの症状とは?克服方法や併発しやすい精神疾患を解説

インナーチャイルドとアダルトチルドレンの関連性

インナーチャイルドとアダルトチルドレンは原因と結果の関係にあります。幼少期に安心できない家庭環境で育ち、傷ついたインナーチャイルドを抱えたまま大人になった状態がアダルトチルドレンです。子ども時代の満たされなかった思いが、大人になってからの生きづらさとして表面化します。

人への過剰な依存や見捨てられ不安など対人関係の問題として現れることが多い点が、アダルトチルドレンの特徴です。

インナーチャイルドを克服する4つのステップ

インナーチャイルドを克服するステップは以下のとおりです。

  • インナーチャイルドを見つける
  • 過去の傷を受け入れる
  • 感情を解放する
  • 心理療法やヒーリングを受ける

インナーチャイルドを見つける

インナーチャイルドを見つけるには、現在の自分の感情や行動のパターンに意識を向けることが必要です。心の奥にある傷ついた子ども時代の自分からのサインに気付くことが、インナーチャイルドを見つける最初の一歩になります。インナーチャイルドを見つけるためには以下の方法が有効です。

  • 強い怒りや悲しみを感じた時の状況を書き出す
  • 幼少期の出来事を振り返る
  • 「~すべき」という思考が親から植え付けられたものではないか考える
  • 人間関係の失敗原因を掘り下げる
  • 繰り返し見る夢を記録する
  • 昔の写真を見ながら自分に「本当は何を感じていた?」と問いかける

自分の内面と向き合うことで、インナーチャイルドの存在に気付けます。

過去の傷を受け入れる

インナーチャイルドと向き合うには、過去のつらい記憶や感情を受け入れることが不可欠です。過去の傷を受け入れることは無理に毒親を許すことではなく、起きた出来事や感情をありのままに認めることです。

過去の出来事や感情に蓋をし続けると、心はずっと重たい荷物を抱え、インナーチャイルドを克服できません。自分の本当の気持ちを認めると心の整理ができ、つらい記憶から解放されます。インナーチャイルドを克服するため、以下を意識して自分の気持ちと向き合いましょう。

  • 毒親の言動は自分のせいではなかったと理解し、自分の価値とは関係ないと考える
  • 「あの時、あんなことを言われて悲しかった」と、傷ついた事実を客観的に認める
  • 悲しみや怒り、寂しさといった感情を「そう感じて当然だった」と肯定する
  • 傷ついた幼い自分に「つらかったね」「よく耐えたね」と優しく声をかける
  • 「毒親を許せない」という気持ちも、正直な自分の感情として受け止める

自分の内面の感情を否定せず受け止めることでインナーチャイルドは癒やされ、前に進めます。

感情を解放する

過去の傷を受け入れたら心の中に溜め込んできた感情を外に出してあげましょう。幼少期に我慢してきた怒りや悲しみなどの感情はインナーチャイルドとなり、大人になっても無意識のうちに心に残り続けます。感情を解放してインナーチャイルドを克服するには、以下の方法が有効です。

  • 自分の気持ちをノートに書き出す
  • 怒りを発散させる
  • 思いきり泣く
  • 誰かに自分の気持ちを話す

心理療法やヒーリングを受ける

自分一人でインナーチャイルドと向き合うことが難しいと感じたら、心の専門家の力を借りましょう。インナーチャイルドの問題に詳しいカウンセラーはつらい気持ちを深く理解し、心に寄り添った手助けをしてくれます。インナーチャイルドを克服するための心理療法やヒーリングを以下に紹介します。

  • カウンセリング
  • 認知行動療法
  • EMDR(トラウマ療法)
  • ヒプノセラピー(催眠療法)
  • アートセラピー

カウンセリングでは臨床心理士や公認心理師など、信頼できる専門家と対話することで、自分の気持ちや考えを整理できます。認知行動療法はインナーチャイルドによく見られる「自分を責めてしまう否定的な考え方」の癖を見直すことに有効です。

EMDRは目の動きなどを利用し、インナーチャイルドの原因となっている過去のつらい記憶が心に与える影響を和らげます。ヒプノセラピーは深くリラックスした状態で潜在意識に働きかけ、インナーチャイルドを直接癒やすことが可能です。

絵を描いたり、体を動かしたりするアートセラピーは言葉にできない感情を表現し、インナーチャイルドを解放するのに役立ちます。最近では自宅で気軽に相談できるオンラインカウンセリングもあります。心の専門家の力を借りたいと感じたら、利用を検討してみてください。

アダルトチルドレンを克服する4つのステップ

アダルトチルドレンを克服するステップは以下のとおりです。

  • 自己理解と自己認識を深める
  • 健全な人間関係を構築する
  • 感情をコントロールする
  • カウンセリングやサポートグループに参加する

自己理解と自己認識を深める

アダルトチルドレンの生きづらさを克服するには、自分自身の思考や感情を客観的に見つめる「自己認識」が不可欠です。無意識に繰り返してしまう思考や行動の癖に気付かなければ、同じ問題に悩み続けてしまいます。

苦しみの根本的な原因を突き止めてアダルトチルドレンを乗り越えるため、以下の方法で自己理解を深めましょう。

  • 感情や考え、行動を記録する
  • 怒りや悲しみのきっかけを探る
  • 幼少期の経験を振り返る
  • ありのままの自分を受け入れる
  • 他人との比較をやめる
  • 本当に望むことを見つめ直す

健全な人間関係を構築する

アダルトチルドレンを克服するため自分と他人との間に境界線を引き、自分を守りながら相手と良好な関係を築きましょう。アダルトチルドレンの人は無意識に他人の顔色をうかがったり、相手の期待に応えようとしすぎたりする傾向があります。

自分の気持ちを後回しにしてしまい、心が疲れ果ててしまうアダルトチルドレンの人も少なくありません。心地良い人間関係を築き自分の気持ちを大切にするために以下を意識しましょう。

  • 断る勇気を持つ
  • 依存しすぎない
  • 意見を伝え尊重する
  • 他人との距離感を大切にする
  • 不健全な関わりを繰り返さない
  • 不健全な人とは距離を置く

自分を大切にしてくれる人との人間関係を築くことで他人に振り回されなくなり、アダルトチルドレンを克服できます。

感情をコントロールする

感情に振り回されないためには自分の気持ちに気付き、上手に付き合っていく方法を学ぶことが重要です。アダルトチルドレンの人は感情をうまく表現できなかったり、感情を爆発させてしまったりすることがあります。アダルトチルドレンを克服するため自分の感情を客観的に観察し、衝動的な行動を避ける練習をしましょう。

感情をコントロールするには感じていることを言葉にしたり、一度立ち止まって落ち着いたりすることが大切です。「私は〜と感じる」と自分を主語にして相手に気持ちを伝えると、感情に左右されず冷静に対処できるようになります。

カウンセリングやサポートグループに参加する

一人で悩みを抱え込まずに専門家や同じ境遇の仲間を頼ることは、アダルトチルドレンの克服に役立ちます。自分一人では気付きにくい考え方の癖や問題の根本原因を、専門家は客観的な視点から見つけてくれます。

同じ境遇の人と話すと「アダルトチルドレンで苦しんでいるのは自分だけじゃない」と感じられ、孤独感を和らげることが可能です。専門家によるカウンセリングでは、認知行動療法やトラウマケアといった心理療法を通じて心の傷を癒やす手助けをしてもらえます。

最近ではオンラインカウンセリングや地域の精神保健福祉センターなど、アダルトチルドレンを相談できる場所は多くあります。費用や形式もさまざまなので、自分に合った相談先を探してみましょう。

インナーチャイルドを癒やしてアダルトチルドレンを克服しよう

アダルトチルドレンの生きづらさを和らげることは可能です。アダルトチルドレンの苦しみの原因は自分のせいではなく、育った環境で傷ついたインナーチャイルドにあります。ありのままの自分を受け入れることが、心の傷を癒やすための最初の一歩です。

一人で悩まずに同じ境遇の人を頼ったり、専門家の助けを借りたりすることも大切です。インナーチャイルドを癒やすことでアダルトチルドレンを克服し、自分らしく生きる力を取り戻しましょう。