
「相手に嫌われることが怖くて、自分から関係を壊してしまう」などの恋愛の悩みは、育ってきた環境が原因の可能性があります。アダルトチルドレン特有の生きづらさが、無意識のうちに恋愛にブレーキをかけているためです。
この記事ではアダルトチルドレンが恋愛でつまずく理由を7つ挙げ、陥りがちな問題と解決策を解説します。記事を読めば、恋愛がうまくいかない原因がわかり、苦しいパターンから抜け出して幸せな関係を築くことが可能です。
アダルトチルドレンだからと幸せな恋愛を諦める必要はありません。まずは自分の特性と向き合い、傷ついた心を癒すことから始めましょう。アダルトチルドレンでも心から安心できるパートナーシップを築くことは可能です。
アダルトチルドレンが恋愛できないと言われる理由7選

アダルトチルドレンが恋愛できないと言われる理由は以下のとおりです。
- 自己肯定感が低い
- 心の壁を作ってしまう
- 相手に尽くしすぎてしまう
- 幸せになることを恐れる
- 相手の感情を素直に受け取れない
- 傷つくことを恐れている
- 自分から関係を壊してしまう
自己肯定感が低い
アダルトチルドレンが恋愛を難しく感じる大きな理由の一つに、自己肯定感の低さがあります。アダルトチルドレンは自分に価値があると思えないため、恋愛に対して前向きになれない傾向が見られます。自己肯定感の低さは多くの場合、幼少期に毒親からありのままの自分を受け入れてもらえなかった経験が原因です。
自己肯定感が低いと以下の考え方や行動につながりやすく、健全な恋愛関係を築く上で大きな壁になります。
- 好きな人ができても「自分なんて相手にされない」とアプローチを諦める
- 相手からの好意を素直に受け取れず「何か裏があるのでは」と疑う
- 「ありのままの自分を知られたら嫌われる」などの恐怖心から、本当の姿を見せられない
- いつも「見捨てられるかもしれない」と不安で、相手の顔色ばかりうかがう
» アダルトチルドレンの症状とは?抱えやすい精神疾患と克服方法を解説
心の壁を作ってしまう

アダルトチルドレンは人を信じることに強い恐怖心を抱き、無意識に相手との間に心の壁を作ってしまうことがあります。心の壁を作ることは自分を守るための行動ですが、相手との間に距離が生まれ、恋愛関係を深めることが難しくなります。
アダルトチルドレンが心の壁を作ってしまう原因は子どもの頃に毒親から受けた心の傷です。アダルトチルドレンは感情を出すことを許されなかった経験から本音や弱みを隠したり、完璧を演じたりすることが多くあります。
相手に尽くしすぎてしまう
アダルトチルドレンはありのままの自分では愛されないなどの思い込みから、相手に過剰に尽くしてしまう傾向があります。毒親の機嫌や顔色をうかがうことでしか自分の居場所を確保できなかったことが、アダルトチルドレンが相手に尽くしすぎる原因です。
アダルトチルドレンは見捨てられることへの強い不安があり、相手の要求を断れない傾向があります。尽くすことでしか自分の存在価値を感じられないため、アダルトチルドレンは対等な関係を築くことが難しくなります。
幸せになることを恐れる

アダルトチルドレンは恋愛で幸せな状況になると、かえって不安を感じてしまうことがあります。幼少期に安心できる環境で過ごせなかった経験から、アダルトチルドレンは幸せなはずの状況で以下の思考に陥りがちです。
- 幸せは長く続かないと思い込む
- 良いことの後に悪いことが起きる
- 幸せになることへの罪悪感がある
- 自ら関係を壊したくなる
幸せそのものへの恐怖心がアダルトチルドレンが恋愛関係を深めることを無意識に妨げてしまう原因です。
相手の感情を素直に受け取れない
相手からの愛情や優しさを素直に受け取れずに疑ってしまうことも、アダルトチルドレンが恋愛できないと言われる理由です。アダルトチルドレンは幼少期の経験から「自分は愛される価値がない」と思い込んでいるため、相手の感情を素直に受け取れません。
毒親からの愛情が常に条件付きだったり、感情を出すことを許されなかったりした経験は自己肯定感を大きく傷つけます。アダルトチルドレンは過去の経験からポジティブな感情に慣れていないため、無条件の好意を向けられても信じることが困難です。
傷つくことを恐れている

アダルトチルドレンは過去のつらい経験から恋愛で再び傷つくことを極度に恐れます。恐怖心は相手と親密な関係を築く上で大きな壁になります。幼い頃に毒親から受け入れてもらえなかったり、拒絶されたりした経験が「見捨てられることへの恐怖」の原因です。
アダルトチルドレンは相手との関係が深まるほど、裏切られた時の心のダメージが大きくなると考え、無意識にブレーキをかけます。恋愛では相手の些細な言動を自分への否定や拒絶だと過敏に捉えてしまう傾向がアダルトチルドレンにはあります。
アダルトチルドレンは本音を伝えると嫌われる、関係が終わると信じ込んでいるため自分をさらけ出せません。
自分から関係を壊してしまう
大切な人との関係が順調に進展しそうになると、無意識に自ら関係を壊してしまうことがアダルトチルドレンの特性です。幼少期の経験から「どうせ見捨てられる」などの強い不安や、幸せな状態に慣れていないことへの戸惑いがあることが原因です。
アダルトチルドレンは傷つかないために、先に自分から関係を断ち切ることで心を守ろうとします。本当は相手と仲良くしたい気持ちがあるにもかかわらず、アダルトチルドレンは以下の行動を取って大切な人を遠ざけます。
- 相手を試す行動
- 過度な束縛や嫉妬
- 関係の自己破壊
- 無意識の問題行動
- 攻撃的な態度
アダルトチルドレンが陥りやすい恋愛の問題

アダルトチルドレンが陥りやすい恋愛の問題は以下のとおりです。
- 恋愛感情を抱けない
- 幸せになれない相手を選んでしまう
- 共依存関係になってしまう
恋愛感情を抱けない
アダルトチルドレンは、恋愛において「好き」の気持ちがわからなくなってしまうことがあります。アダルトチルドレンは子どもの頃から自分の感情を抑え込むことが当たり前になっていて、自分の本当の気持ちに気づきにくいためです。
歪んだ親子関係の中で育つと健全な愛情の形を知らないまま大人になるため、以下の状態に陥りがちです。
- 感情がわからない
- 恋愛の仕方がわからない
- 相手を信用できずブレーキをかける
- 親密な関係への恐怖を感じる
- 愛される価値がないと感じる
- 恋愛を世話と勘違いする
幸せになれない相手を選んでしまう

自分を大切にしてくれない相手ばかりを選んでしまうことも、アダルトチルドレンが陥りやすい恋愛の問題です。アダルトチルドレンが幸せになれない相手を選んでしまう原因は、毒親との関係で経験したパターンを無意識に恋愛で繰り返してしまうからです。
子どもの頃に毒親との間で築かれた関係は大人になってからの人間関係の土台になります。アダルトチルドレンは安心できる穏やかな関係よりも、たとえつらくても慣れ親しんだ不安定な関係に無意識に惹かれてしまうことがあります。
自己肯定感の低さや見捨てられることへの強い不安も、アダルトチルドレンが不適切な相手を選んでしまう原因です。
共依存関係になってしまう
アダルトチルドレンは相手に尽くしすぎることで共依存関係に陥ることがあります。子どもの頃に毒親から植え付けられた「誰かの役に立たないと自分には価値がない」などの思い込みが共依存関係の原因です。
共依存関係になると見捨てられることへの恐怖から相手の言いなりになったり、過剰にお世話を焼いたりして、自分の存在価値を確認しようとします。相手を優先したり、行動を管理したりすることも共依存関係の特徴です。共依存関係は一見すると深い愛情に見えますが、実際にはお互いを縛り付け、成長を妨げる不健康な関係です。
アダルトチルドレンが恋愛できない状態から抜け出す方法

アダルトチルドレンが恋愛できない状態から抜け出す方法は以下のとおりです。
- アタッチメントスタイルを理解する
- 自己肯定感を高める
- 効果的なコミュニケーションスキルを習得する
- 相手と適切な距離感を保つ
- カウンセリングやセラピーを活用する
- サポートグループや自助グループに参加する
- パートナーと協力する
アタッチメントスタイルを理解する
アタッチメントスタイルを理解することは、アダルトチルドレンが恋愛できない状態から抜け出す方法の一つです。自分のアタッチメントスタイルを理解すると、恋愛での問題行動のパターンが見えてきます。アタッチメントスタイルとは、幼少期に親や養育者との関係の中で形成された愛着の形です。
毒親の元で育った方は不安定なアタッチメントスタイルを持ちやすい傾向があります。主なアタッチメントスタイルは以下の4つです。
- 不安型
- 回避型
- 安定型
- 恐れ-回避型
アタッチメントスタイルは、努力すれば安定型に近づけることが可能です。セラピーや心理教育を通じて、健全な愛着関係の構築方法を学ぶことも効果的です。自分のパターンを認識することから始めて、少しずつ変化を積み重ねましょう。
自己肯定感を高める

自己肯定感の低さはアダルトチルドレンの恋愛の根本にある課題です。自分を価値ある存在として認められないと健全な恋愛関係を築くのは難しくなります。自己肯定感を高めるための効果的な方法は以下のとおりです。
- 自分の良い部分や成功体験を日記に書く
- 小さな目標を設定して達成する
- 自分の長所や強みをリストアップする
- 自分を褒める習慣をつける
- 自分には価値があると言い聞かせる
- 自分への言葉遣いを見直す
- 意識的に肯定的な言葉に置き換える
- 完璧主義を手放す
- 自分の境界線を明確にする
» 【毒親育ちの人向け】自己肯定感を高める9つの方法を徹底解説
効果的なコミュニケーションスキルを習得する
健全な人間関係を築くためには、効果的なコミュニケーションスキルが欠かせません。アダルトチルドレンは幼少期に適切なコミュニケーションモデルを見れず、気持ちの表現に苦手意識を持ちやすい特徴があります。効果的なコミュニケーションスキルとして以下が挙げられます。
- メッセージを使用する
- アクティブリスニングを意識する
- 「No」と言うことを恐れない
- 一時停止(タイムアウト)を取る練習をする
- 非言語コミュニケーションに注意を払う
- 過剰な謝罪や自己否定的な言葉遣いを減らす
- 前向きな表現に置き換える
相手と適切な距離感を保つ

アダルトチルドレンは過度に相手に依存したり、逆に必要以上に距離を置きすぎたりする傾向があります。適切な距離感とは、自分も相手も大切にできるバランスのとれた関係のことです。相手と適切な距離感を保つために意識すべきポイントは以下のとおりです。
- 自分の時間や空間を確保する
- 相手の問題をすべて抱え込まない
- 感情的に巻き込まれることを回避する
- 双方のニーズを尊重する
- 過度な依存や孤立を回避する
特に注意すべき点は相手の問題を自分の問題として抱え込まないことです。相手の感情に振り回されず、自分の感情も大切にする姿勢が健全な関係につながります。
カウンセリングやセラピーを活用する
専門家のサポートを受けることは、アダルトチルドレンの恋愛問題を解決する上で効果的です。トラウマやネガティブな思考パターンを1人で克服することは困難ですが、専門家の助けを借りることで自分と向き合えます。
カウンセリングやセラピーでは幼少期の体験が与える恋愛パターンへの影響を客観的に分析することが可能です。専門家は中立的な立場からあなたが気づいていない行動パターンや思考の癖を指摘してくれます。
» カウンセリングを受けて、毒親の影響から抜け出そう!
サポートグループや自助グループに参加する

サポートグループや自助グループへの参加は、アダルトチルドレンの回復過程において効果的な方法です。似た経験を持つ人々と出会うことで、自分1人ではないという安心感を得られます。以下のサポートグループでの経験は健全な人間関係の築き方を学ぶ場になり、恋愛関係の改善にもつながります。
- ACOA(アダルトチルドレン・オブ・アルコホリックス)
- ACA(アダルトチルドレン・アノニマス)
- オンラインコミュニティ
特にACOAやACAなどの専門グループは、毒親の影響から回復するための具体的なステップやツールを提供しています。定期的に参加すると継続的なサポートが得られ、他者の成功体験があなたのロールモデルになることもあります。
パートナーと協力する
自分1人で問題を抱え込まず、パートナーと協力すれば恋愛の困難を乗り越えられます。自分のアダルトチルドレンとしての特性や課題をパートナーに正直に伝えましょう。自分のトリガー(感情が爆発するきっかけ)や反応パターンを共有すれば、パートナーは言動の背景を理解できます。
お互いの境界線を尊重し、定期的に話し合いの時間を設けましょう。状況が複雑な場合はカップルセラピーを受けることも検討してください。
アダルトチルドレンの恋愛に関するよくある質問

アダルトチルドレンの恋愛に関するよくある質問に回答します。
アダルトチルドレン同士の恋愛は成立する?
アダルトチルドレン同士の恋愛は成立する可能性があります。お互いに似た経験をしているからこそ、深いレベルでの理解や共感が生まれやすい点がアダルトチルドレン同士の恋愛のメリットです。ただし、互いのトラウマが引き金となる衝突や共依存関係などの課題がアダルトチルドレン同士の恋愛にはあります。
アダルトチルドレンの回復に積極的に取り組んでいる2人であれば、健全な関係を築ける可能性は高まります。アダルトチルドレン同士の恋愛で健全な関係を築くために大切なポイントは以下のとおりです。
- 境界線の明確化と尊重
- 個別・カップルカウンセリングの併用
- コミュニケーションスキルの向上
パートナーがアダルトチルドレンのときはどうすればいい?

パートナーがアダルトチルドレンの場合は相手の過去の傷を理解し、共感する姿勢を持ちましょう。一方的にアダルトチルドレンを治そうとしないことも重要なポイントです。アダルトチルドレンの回復は本人が主体的に取り組むべきことで、外部からの強制は逆効果になります。
相手との関わり方として、以下のポイントを意識しましょう。
- 境界線を尊重する
- 否定的言動を受け止める
- 明確なコミュニケーションをとる
- 感情表現を尊重する
恋愛の中で自分自身を守る方法は?
自分を守りながら健全な愛情関係を築くことは可能です。恋愛の中で自分自身を守るために、自分の境界線を明確にしましょう。毒親育ちの方は自分の気持ちよりも相手の気持ちを優先してしまいがちですが、長期的には関係性を損なう原因となります。自分を守るための方法は以下のとおりです。
- 自分の価値観や境界線を大切にする
- NOと言う勇気を持つ
- 気持ちや不安を伝える習慣をつける
- 違和感を無視しない
- 過度な自己犠牲をしない
「アダルトチルドレンが恋愛ができない」はウソ! 幸せな恋愛はできる

アダルトチルドレンだから恋愛ができないなどの考えは誤りです。自己肯定感を高めて適切な境界線を設定し、感情パターンに気づくなどの取り組みにより、アダルトチルドレンでも健全な恋愛関係を築けます。アダルトチルドレンは恋愛の障害ではなく自己理解と成長の機会です。
完璧を求めず、自分を責めずに小さな成功体験を積み重ね、パートナーとの信頼関係構築に時間をかければアダルトチルドレンでも幸せな恋愛ができます。