
「母親を嫌いと思いたくないのに思ってしまう」と罪悪感に悩まされていませんか?母親との関係が長年をかけて複雑化し、深い心の傷となっている人もいるでしょう。この記事では、母親を嫌いだと感じる一般的な理由や感情との向き合い方、健全な関係を構築するための具体的な方法を解説します。
この記事を読めば自分の感情を肯定し、心の傷を癒すための第一歩を踏み出すヒントが得られます。母親を嫌いだと感じることは決して異常ではなく、尊重されるべき感情です。母親との適切な距離感を見極め、自分の心や人生を大切にする選択をしましょう。
母親を嫌いだと感じる一般的な理由

母親を嫌いだと感じる一般的な理由には以下が挙げられます。
- 愛情不足と感じる
- 過干渉や束縛が激しい
- 他人と比較される
- 完璧主義で褒めてくれない
- 自分の夢を押し付ける
- 愚痴や悪口ばかり聞かされる
愛情不足と感じる
子ども時代の母親からの愛情不足は、後々の親子関係に大きな影響を与えることがあります。母親の愛情不足を感じる具体的な体験の例は、以下のとおりです。
- 「愛している」と言われなかった
- スキンシップがなかった
- 心の支えになってもらえなかった
- 気持ちや意見を軽視された
- 成功や努力を否定された
- 真剣に傾聴してもらえなかった
母親は実際には愛情を持っていても、子どもに対して適切に表現できないケースがあります。母親の愛情を得られなかった体験は子どもの心に深い傷を残し「母親が嫌い」との感情を生む原因となります。
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過干渉や束縛が激しい

過干渉や束縛をする母親は子どもの自由を極端に制限し、自立を妨げる行動を取ります。母親の過干渉や束縛には以下の行動が含まれます。
- 子どもの持ち物や部屋を無断で調べる
- 子どもの意思を無視して進路や習い事を決める
- 子どもの居場所や行動を常に把握しようとする
- 子どもの服装や髪型、趣味に過剰に口出しをする
- 子どもの失敗を過度に心配し、挑戦機会を奪う
- 子どもの友人関係に不必要に口を出す
母親から過干渉や束縛をされた子どもは自分で判断する力や自信を身に付ける機会を失ってしまいます。自分の気持ちや欲求を抑え込んで生きてきた結果、母親から過干渉や束縛をされた子どもは大人になってから不満が大きくなり母親を嫌う場合があります。
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他人と比較される
母親から他人と比較されると子どもは自己肯定感を大きく損ないます。「○○さんはできるのに、あなたはどうしてできないの?」は、母親が他人と比較するときの代表的なフレーズです。兄弟や学校の友だち、母親の子ども時代などが比較対象になる場合が多くあります。
子どもに優れた個性や努力の成果があっても認めず、他人との違いだけを強調する母親もいます。比較されて育った人は気付かない内に自分の子どもを他の子どもと比較し、負の連鎖が生じる可能性があるため注意が必要です。
完璧主義で褒めてくれない

常に100%の結果を求め、99%でも不十分とみなすことが完璧主義の母親の特徴です。母親から小さな成功や進歩を褒めてもらえない経験が積み重なっていくと、子どもは自分の価値を認められなくなります。
母親の主観で決めた「完璧」は達成が難しく、子どもは承認を得るために過度に頑張る習慣が身に付いてしまうことがあります。完璧主義の母親に育てられると、子どもも完璧主義になることは大きな懸念点です。
完璧主義の母親に育てられた子どもは自分や他者に対して厳しい目を持つようになり、母親に対しても嫌悪感を抱くようになる場合があります。
自分の夢を押し付ける
母親が叶えられなかった夢や願望を子どもに押し付け、大きな精神的負担を与えるケースがあります。自分の夢を押し付ける母親には以下の特徴があります。
- 子どもの適性や興味を無視する
- 子どもの意見や希望を聞かない
- 子どもの成功を親の自己満足に利用する
- 子どもの成果を自分の手柄にする
- 期待に応えられない子どもを責める
母親の夢を押し付けられると、子どもは自分の本当の気持ちや希望を抑え込むことになります。自分の意志を無視して生きてきたことに気付いたときに、子どもは強い怒りや喪失感を感じて母親を嫌う場合があります。
愚痴や悪口ばかり聞かされる
母親が愚痴や悪口ばかりを話す家庭では、家族間のコミュニケーションが歪みます。特に問題なことは子どもが母親の感情のはけ口として利用されるケースです。母親の愚痴や悪口ばかり聞かされることは、子どもにネガティブな思考パターンを植え付けます。
愚痴や悪口は母親側の一方的な発信に偏ったコミュニケーションであり、親子関係のバランスを崩すことも問題です。子どもは母親に話や気持ちを聞いてもらえず、自分の思いがないがしろにされているように感じます。健全なコミュニケーションが取れないために、子どもが母親との関係を悪化させてしまうケースが多くあります。
» 愚痴や悪口が多い親に育てられた子どもの特徴を解説
母親が嫌いな気持ちは悪いことではない

母親を嫌いな自分の気持ちを責める必要はありません。社会では「母親は無条件に愛すべき存在」との考えが強いですが、実際には親子関係が良好でないケースも多くあります。母親も1人の人間であり完璧ではありません。
不適切な養育環境や精神的虐待などから母親への嫌悪感が生じることは自然な反応です。母親を嫌う気持ちは自分を守るための健全な自己防衛であり、自分の感情を否定してしまうと、さらに苦しみを深めてしまいます。母親に対する自分の感情を認めて受け入れることが、心の健康を保つことにつながります。
母親を嫌うことで自己肯定感の低下やストレスの増加が起こる

母親に対する否定的な感情は自然なものですが、母親を嫌いだと感じることは心の奥底で葛藤を引き起こします。幼少期に母親から繰り返し否定される体験をすると「自分には価値がない」という価値観が形成されやすくなります。
子どもの頃に負った心の傷は不安障害やうつ病、対人関係の困難につながることがあるため、早期に適切なケアを受けましょう。母親を大事にできていない罪悪感から自己肯定感が低下する場合もあります。母親への感情を押し殺したり無理に良好な関係を装ったりすると、よりストレスが増加するため注意が必要です。
母親に対する否定的な思いも含めた自分の感情を受け入れ、必要な場合は専門的なサポートに頼りましょう。
嫌いな母親との関係を改善する方法

嫌いな母親との関係を改善するためにおすすめの方法は、以下のとおりです。
- 母親との話し合いで関係を見直す
- 母親との表面上の関係を円満に保つ
- カウンセリングを活用する
- 必要に応じて母親との距離を置く
母親との話し合いで関係を見直す
母親と可能な範囲で話し合うことによりお互いの気持ちを理解し合い、健全な関係を構築できる場合があります。話し合いの際は以下のポイントを意識しましょう。
- 話し合いの目的を明確にする
- 適切な場所と時間を確保する
- 感情的にならない
- 伝えたいことはメモにまとめておく
母親との話し合いでは批判を避けることを意識し、次のステップで進めると落ち着いて話し合いやすくなります。
- 自分の気持ちを穏やかに伝える
- 母親の話を最後まで聞く
- 具体的な出来事について話す
- 母親に改善してほしい点を明確に伝える
- 母親との今後の関係について一緒に考える
母親との話し合いが難しい場合は、カウンセラーなどの専門家に同席してもらうことも検討できます。第三者が入ることで、母親と客観的で建設的な対話ができる場合もあります。一度の話し合いで母親との問題がすべて解決するわけではない点も覚えておきましょう。
母親との継続的なコミュニケーションにより、少しずつ成功体験を重ねることが大切です。
母親との表面上の関係を円満に保つ
母親との表面上の関係を保つことは、自分の精神衛生を守るための賢明な選択です。適度な距離感を保ち、最低限の礼儀を守れば、母親との関係を大きくこじらせずに済みます。母親と話すときは深い感情的な会話は避け、天気や一般的な話題だけに留めておくと心の負担が軽くなります。
電話やメッセージを母親に送る頻度は少なくし、参加する家族行事を慎重に選びましょう。母親が問題行動を取っても反応せずにいれば、心を乱されずに済みます。母親の言動に対する期待値を下げ、冷静な見方を持ちましょう。他の家族などの第三者を介して交流することで、母親との直接的な衝突を避けられる場合もあります。
カウンセリングを活用する

カウンセリングで専門家に感情や悩みを打ち明けると、母親との複雑な関係について客観的な視点を得る助けになります。カウンセリングでは以下のサポートが受けられます。
- 過去のトラウマや心の傷に対する治療
- 自己肯定感の回復ワーク
- 感情コントロールのスキル習得
- 健全な対人関係の構築スキル習得
カウンセリングの形態には、一対一のカウンセリングや家族療法、親子カウンセリングを含む複数の形態があります。時間や場所の制約がある場合は、オンラインカウンセリングも選択可能です。母親に関して同じ悩みを持つ人たちと交流できる自助グループやコミュニティも活用できます。
» カウンセリングの効果とは?毒親の影響から抜け出す方法を解説!
必要に応じて母親との距離を置く
母親と適切な距離を保てば、感情を整理し冷静に状況を考える時間が得られます。母親との距離の取り方には以下の選択肢があります。
- 完全に連絡を断つ
- 連絡の頻度を減らす
- 会う時間を短くする
- 特定の話題を避ける
- 一時的に別の場所に住む
自分の心の健康を優先することは利己的なことではなく、健全な自己防衛です。適切な距離を置くことが、長期的に見て母親との関係改善の第一歩になる場合もあります。
» 親と縁を切るには?具体的な方法と手続きを解説
母親嫌いを乗り越えるための心の持ちよう

「母親嫌いを乗り越えるための心の持ちよう」として大切な以下の3点を解説します。
- 母親を許さなくても良い
- 自分の人生を優先する
- 母親は「他人」と捉える
母親を許さなくても良い
母親を許せない自分を認めることは、自己肯定の第一歩です。傷ついた気持ちや怒りの感情を受け入れることで、心が楽になる場合もあります。母親を許せない感情は自然なものであり、感情を無視したり押し殺したりする必要はありません。
「親孝行すべき」との社会的圧力に縛られることはやめましょう。親子関係は選べませんが、母親との関係の質や距離感は自分で決められます。母親を無理に許そうとするのではなく、自分の感情に折り合いを付ける方法を見つけることが心の平和につながります。
自分の人生を優先する

母親の期待や要求に応えようとして幸せを後回しにしてきた人は、自分の人生を最優先に考えましょう。自分の人生を優先するとは、具体的には以下の行動を意味します。
- 自分の選択や幸福を第一に考える
- 母親の期待より自分の人生設計を重視する
- 母親との境界線を決める
- 自己成長の時間を確保する
- 自分を満たす習慣を身に付ける
母親との関係よりも、自分の幸せを優先することに時間とエネルギーを使ってください。健全な人間関係や趣味などは、生活を豊かにします。過去の傷に囚われない未来志向の生き方を目指しましょう。
母親は「他人」と捉える
血縁関係があっても、母親は子どもとは別の人格を持つ独立した人間です。母親を「他人」と捉えれば、不健全な関係から自分を守れます。親子関係も一種の人間関係であり、相性が合わない場合もあると認めれば、母親が嫌いな自分を責めずに済みます。
母親を「他人」と捉えることは関係を断つことではなく、健全な境界線を引くことです。母親とは、他人として互いを尊重し合える、大人同士の関係を築くことを目指しましょう。母親と健全な関係性が構築できれば、自分の精神的な自立と成長にもつながります。
母親との新しい関係を築くタイミング

人生の転機が母親との新しい関係を築く良いタイミングになる場合があります。以下の場面について考えてみましょう。
- 自分が親になったとき
- 母親が大病を患ったとき
- 介護が必要になったとき
自分が親になったとき
自分が親になると、母親の大変さや苦労を実感できるようになります。子育ての経験を通して以前は理解できなかった母親の言動や選択について、新たな視点で考察することが可能です。母親と子育てについての共通の話題ができ、新しい絆が生まれる場合もあります。
すべての人が母親にされたことを同じように自分の子どもに対してしてしまうとは限りません。親になる経験を通して母親との関係を客観的に見つめ直し、負の世代間連鎖を断ち切る決意をする人もいます。「自分は母親とは違う親になりたい」との思いから新たな視点が生まれ、母親との関係改善につながることもあります。
母親が大病を患ったとき

母親が重い病気になったときは、これまでの対立や葛藤よりも母親の健康を最優先に考えましょう。「共通の敵」である病気に立ち向かい、看病を通して母親との新たな絆が生まれる場合があります。大病をきっかけに、強く支配的だった母親の弱さが垣間見られ、新たな視点から母親を理解できるようになる人もいます。
ただし母親の過去の毒親的行動について、病気を理由に正当化することはできません。自分の心の負担が大きい場合は、大病の母親に対し無理に献身的な世話をする必要はありません。あくまでも自分の心の健康を第一にし、無理のない範囲で母親のサポートを行いましょう。
介護が必要になったとき
母親の介護が必要になり、距離を置いていた関係性が変わる場合があります。介護を通して母親の生い立ちや苦労がより深く理解でき、見方が変わる可能性もあります。介護の始まりは母親との過去の関係性や自分の感情を再評価し、答えを見つけていく良い機会です。
一方、介護はとても大変な仕事で、嫌いな母親の介助をすることは精神的な負担が大きくなります。介護を通して母親との関係が悪くなることも、誰にでも起こりうると理解しておくことが必要です。母親の介護の中で自分の気持ちを整理する時間を持つことも大切です。
母親の介護が必要となった際は1人で抱え込まず、ヘルパーなどの外部サービスの活用も検討しましょう。自分の限界を知り、無理をしないことが母親との長期的な関係構築につながります。
まとめ

多くの人が母親を嫌いだと感じる理由には、愛情不足や過干渉、他人との比較などが挙げられます。母親が嫌いな感情を否定する必要はありません。母親との関係を改善するためには、話し合いや表面上の関係を円満に保つことやカウンセリングを受けることも効果的です。
「母親を無理に許す必要はない」「母親も他人である」といった心の持ちようは、人生を大切に生きるために役立ちます。自分が親になったときや母親が大病をしたときなどは、母親と新しい関係性を築くきっかけになる場合もあります。
無理に関係修復をしようとはせず、自分の心の健康を最優先に母親との適度な距離感を見つけましょう。
» 自分を大切にする!毒親の対処法完全ガイド